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ー推薦状ー
中井 貴惠様
バンクーバーの一週間

肩からさげたバッグには教科書、ノートそしてサンドイッチのお弁当。ゆっくりと朝の空気を吸いながらまだ人通りの少ないロブソンストリートを歩く。たくさんの店が立ち並ぶこの目抜き通りは、あと一時間もすれば通勤の車や人であふれかえる。しかし早朝だけは空気がきれいだ。ここはカナダ・バンクーバーのダウンタウン。スタバで眠気覚ましの温かいコーヒーを買い、朝の運動をかねてバスには乗らず開店前の店を眺めながら歩くこと25分。めざすは学校の校舎のあるビルだ。東京なら車でビューっと飛ばしてしまうような距離が朝のゆったりとした時間を作り出す。そう、これは今年の夏たった一週間だけこの地で語学学校へ入学した私の通学のひとこまである。

今年八月、二年前からこの町の高校に通っている長女を訪ね、家族全員でやってきたバンクーバー。家族旅行と思いきや、ふたをあければ、長女は毎日サマースクールの授業、次女は隣町でのキャンプに参加、そして夫は仕事のためのパソコン持参と、気がつけば何も予定がない一週間が思いがけず私にころがりこんできた。こんなことはめったにない、とさっそく英語を学ぶために一週間の語学学校入学を決行したのである。

「Good morning!」
校舎のあるビルにさしかかるとクラスメイトに声をかけられる。世界のあちこちから集まった年齢も経歴も違う様々な学生たち。
「Hi! How is going?」
なんだかうれしくなって威勢のいい挨拶を返す。

教室に足を踏み入れるとちょっと身が引き締まる。朝9時から午後3時まで、40分のランチタイムをはさんで、久々に脳みそをフル回転しての授業。
文法を中心に学ぶ授業の他に、一週間に1つのテーマを決めて、さまざまな方向からそのテーマを決めて、様々な方向からそのテーマを学び意見を交換するコミュニケーションの授業もある。下手な英語でも他国の学生たちに負けずにがんがん発言をしなければこちらの授業は楽しめない。昔と比べればずいぶんずーずーしくなったものだ。度胸だけの英語で何とかしがみついていく。一週間の最後の授業では、生徒それぞれが五分間の持ち時間を得て、プレゼンテーションを行う。

「明日までにグエン・ステファニーの曲を聴いて、歌詞を全部書いてきなさい」
パソコンをつなげれば不可能などないこの時代。先生のご指定の曲をダウンロードし、わけの分からぬラップに悪戦苦闘しながらこんなユニークな宿題を仕上げる。これを使って授業は一体どんな風にこれから展開するのだろう?学生時代には考えもしなかった明日への期待が頭をよぎる。

バンクーバーでぽっかりとできた一週間という時間。
ショッピングもよし、エステもよし、レストランでの豪華なディナーもよし。しかし、まるで学生時代に戻ったような、誰かのためでもない自分だけのこんな時間になぜか私の胸はわくわくと躍る。日々の生活から逸脱した、ちょっとだけ特別な時間。短いからこそ思う存分満喫しようと思う時間こそが、今の私にとってはまさに優雅な時間である。


中井貴惠
中井 貴惠様

留学図書館からご留学された、ご自身のご留学の手記が雑誌「BOBOS ボボス」に掲載されました。記事とともにご紹介させて頂きます。
「留学」と一言で言ってもいろいろな形の留学があり、どんな子供でも留学に適しているわけではありません。
留学の目的、海外へ出る時期、親と離れて暮らす環境、本人の意志、そして何よりも子供を手放す親の意志、各家庭によってそれぞれ条件は異なってくると思います。

我が家はまず1年間という目標を決めて長女が高校一年生の時に、漠然と海外で学ぶチャンスがあれば、と思いました。あっという間の1年です。とはいえ、たった15歳で親元を離れ、まったく見ず知らずの異国の地で一人で生活をするのはやはり心配です。どこか留学に関しての良い相談をできるところはないか・・そんなとき平川さんのお話を日本経済新聞で拝見し、すぐに相談に伺いました。

アットホームな雰囲気のオフィスで平川さんと面談をし、てきぱきとした判断のもとにとんとん拍子に話しは決まり、カナダ、バンクーバーという場所が留学先の候補にあがりました。私たち両親はアメリカ在住の経験はありましたが、娘を留学させるのはもちろん初めてのこと。それから約1年をかけて娘は留学の準備を始めました。留学図書館、東京のスタッフのみなさんは不安で一杯の娘に、それぞれの留学体験を話して聞かせてくださったり、英語のレッスンを積み重ね、勇気を与えてくださいました。そして何よりも娘を送り出してからは、ホームステイ先などを現地でサポートしてくださる佳子・ヘナオさんの存在は私たち両親にもそして本人にも心強い存在です。

娘は当初の予定であった1年という留学期間を終えてからも、「このまま現地校で卒業を目指す」と自ら決心し結局高校3年間をバンクーバーですごすことになりました。留学は楽しいことだけではありません。つらいことも悲しいもこともたくさんあります。でも年に1〜2回、娘に会う度に、自分たち両親だけでは与えることができなかった海外でのうれしい出会い、そして日々の苦労が娘を大きく成長させていることを身にしみて感じています。まだまだ長い旅の途中にいる娘の未来を、これからも留学図書館のスタッフのみなさんと一緒に見守って行きたいと、思っています。

中井貴惠
ーご留学手記ー